2022年3月15日

建築家展2022|本澤幸一

本澤 幸一/株式会社AkH建築設計室

建築の力を信じ、その力によって建築業務を行い、よりよい社会環境(建築環境)を創造することを基本理念とする。たとえ小さな建物でも、その建物によって、お使いいただく人に温かさを与え、周囲に優しさを与えることができたら、よりよい社会環境が形成されるのではないでしょうか?

私は、建築にはそんな力があると信じています。

個人住宅だから、住み手の趣味趣向を主張すればよいのではなく、商業施設だから、商品をただアピールできればよいのではないと思うのです。建築は周囲に与える社会環境にも配慮をし、お使いいただく人と共に、よりよい建築を目指し築いていくべきと考えています。


木洩れ日色の広場 日立市運動公園テニスコートトイレ・更衣室棟

木洩れ日色の広場 日立市運動公園テニスコートトイレ・更衣室棟

・竣工年月日:2021年2月26日
・建築面積:168.17㎡
・延床面積:108.73㎡
・構造:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
・規模:地上1階

日立市にあるテニスコート施設のトイレ・更衣室改築設計プロジェクト。
屋根を柱のみで支え、外壁で囲まれることのない大屋根を作り、空へとつながっていくような感覚をもつ設計とした。屋根を浮かせることで風を取り込むだけでなく、時間と共に変化する柔らかな光も取り入れることができる。また休憩・シャワー棟と連帯して互いに補完するだけでなく中央ゲートを設けた大屋根のある施設広場を計画した。入口を駐車場側に設け「駐車場」→「ゲート」→「テニスコート」へと、訪れる人の高揚感をも導く。この大屋根が生み出す「開放空間」は、利用する人にとって程よい曖昧な空間となる。
端的に使用されるトイレ設備ではなく、夏は日差しを遮り、冬は光に導かれる陽だまりの場としても利用されている。
本プロジェクトは、これからの公共建築において鍵となる「明確さと曖昧さ」の共存をもつ、決めつけない空間利用の提案を形にすることができたと考えている。


本澤幸一/株式会社AkH建築設計室
一級建築士

■plofile
1965 茨城県生まれ
1983 茨城県立鉾田第一高等学校 卒業
1985 中央工学校 建築設計科 卒業
1985-2002 有限会社 大野設計事務所 勤務
2002 有限会社 本澤幸一建築設計室 設立
2018 有限会社 AkH建築設計室に名称変更 桜川分室開設
2019 桜川分室 測量事業部開設

■works

≪福祉・養育施設≫
・児童養護施設「るんびにー」
・障がい児入所施設「不二学園」
・就労継続支援B型事業所「成田市のぞみの園」
・生活介護・就労継続支援B型事業所「かしの木園」「老人介護支援センター」

≪公的施設≫
・道の駅「たまつくり」
・「富里市地域包括支援センター」
・「行方市麻生保健センター」

≪受賞等≫
・第22回全国建築士事務所 建築作品奨励賞「茨城県立土浦第一高等学校 多目的学習館」
・第10回茨城建築文化賞 優秀賞「茨城県立土浦第一高等学校 多目的学習館」
・「茨城県立土浦第一高等学校体育館」改築工事プロポーザル 最優秀賞
・「茨城県立下館工業高等学校校舎」新築工事プロポーザル 最優秀賞
・「日立市市民運動公園テニスコートトイレ・更衣室棟設計プロポーザル」最優秀賞